ローラー式減速器 N-304 B型バーニアダイヤル・メインページホーム



文字サイズの変更: | | |

減速器って、な~に?

もう10年以上も前のことになるのですが、新美精器の新美さんから電話がありまして、1時間くらい長い会話をしたことがあります。最初はバーニアダイヤルの誤差についてのお話しだったのですが、ある大手電機メーカーの技術部からクレームを頂きまして、そのことについて私が文章化し、エンドユーザーの先方にお答えしたところ、どうやら理解されたようで納得してもらいました。もし、そこまで±0パーセントの完璧な誤差無しのバーニアダイヤルをお求めでしたら、ポテンショメータに替えられたほうが、より完璧に、誤差0%で精密作業が行えますよ、と私は述べたのです。目盛は10回転や20回転も可能なものがあり、1回転する度に小さな窓に数字が1から2というふうに上がっていって表示される抵抗体接触型や光学式非接触型などのポテンショメータで、わりと小さなダイヤル目盛なのです。デジタル式のものもあります。ただし、バーニアダイヤルのような安価な価格では買えませんけれども、誤差を求められるのであれば、予算は二の次になります、とも私はユーザー側に説明も致しました(当時の径36mmのバーニアダイヤルは1個1500円前後くらいなものでした)。そのようなビジネス文書を当時はFAXではなくてユーザー側に丁重に郵送したかと思います。ユーザー側は何年間か径36mm300°目盛のバーニアダイヤルを年に何回かご購入されていたのです。そんなある日、突然このクレーム問題はやって来たのでした。

このバーニアダイヤルの誤差について、一応、製造メーカー側である新美精器さんにも同じ趣旨の文書を送って見解は求めました。すると、どうでしょう。返って来たご返事は、「これからも精進して、いいもの、正確なもの、なるたけ誤差が発生しないようなものを造らせていただきます」という回答をして来られたのです。手作り感のあるアナログ部品なのに、さらに窮めてゆかんとされる姿勢には大変おどろかされたものでした。この誤差問題の件以降、毎年、新美さんから年賀状を頂くようになりました。墨書が好きで、筆文字にこだわられておられた新美さんからの年賀状は、毎年の楽しみでした。

冒頭で述べました新美さんからのお電話の話しのなかで、忘れられない言葉があります。私が「ところで、減速器というのは、いったい何に使うものなのでしょうか?」と訊きますと、「部品を見て、何に使うかわからないような人には、何も話すことはありません」と言われてしまいました。この言葉は電子部品のすべてに通じて言えることでして、部品のことがわからないで、部品の説明を求めるお客さんがおられますが、よく判らないで使おうとされるのです。確かに、新美さんのように、説明しなければならないような時間は惜しいのかもしれません。電子工作や製作ものは、自分で勉強して自ら学ぶべきものなのです。他人に聞くより、まず自分で学び、試行錯誤してゆくうちに、自ずと貴重な体験が得られるものなのです。石橋を叩いて渡るような人は、初めから何もしないほうがいいかもしれませんね。

文・ 古川卓也

(2020/06/29)
TOP

【追記】  2020年12月10日で以って新美精器製の減速器N-304B型の販売は終了致しました。お客様ご注文による2個の内、当店在庫数の残り1個とメーカーさんから送って頂いた最後の1個を以って、最終販売となりました。なお、バーニアダイヤルの製造はこれからも続きますので、今後とも何卒よろしくお願い致します。

(2020/12/10)


「ローラー式 減速器 N-304 B型」のページに戻る

バーニアダイヤル・メインページに戻る





制作・著作 フルカワエレクトロン