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シネマ日記 2018


『スター・ウォーズ / 最後のジェダイ』(2017米)
監督/脚本:ライアン・ジョンソン  原作:ジョージ・ルーカス  出演:マーク・ハミル、キャリー・フィッシャー、アダム・ドライバー、デイジー・リドリー、ジョン・ボイエガ、オスカー・アイザック他

映画に物語を求めるのは、ナンセンスなのか。70年代、京都の映画館で最初の『スター・ウォーズ』を観たが、何という副題だったか、今はとっくに忘れている。遠い過去の記憶にあるのは、「帝国の逆襲」や「ジェダイの復讐」であったり、その後の「クローンの攻撃」や「シスの復讐」であったりするが、どれがエピソード1に当たりどれがエピソード2になるのか、ネットで確認しなければ、まったく把握できない有様となっている。私個人の記憶レベルなので、どれがどのエピソードに当たるのかはまったく無頓着といえるだろう。一つ一つの作品を鑑賞しては、興味深く観ていたので、ストーリーがどうであろうと、実際に楽しめるものではあった。『スター・ウォーズ』とは、そのような1話ずつが楽しい映画だったような気がしている。

自分の年齢が20代から段々遠くなっているのに、『スター・ウォーズ』がまた久し振りに復活し、2015年にいきなり「フォースの覚醒」が現われ、ハン・ソロ役のハリソン・フォードとレイア姫役のキャリー・フィッシャーが再登場したときには、うわぁ、老けちゃった、というのが正直な感想。歳月が40年ちかくも経てば当然なことなのだけれども。その代わりとして若いレイ役のデイジー・リドリーが新登場してくれたのは嬉しかった。ルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミルも老け込んじゃってるし、キャラクターの3POとR2がドロイドなので齢を取らないのは理解できても、何か斬新さの物足らなさだけは拭えなかった。しかし、3POとR2のコンビが「フォースの覚醒」でも仲睦まじく再登場してくれたのは、懐かしくもあり嬉しかった。このキャラクターの存在だけは『スター・ウォーズ』には不可欠だからである。「フォースの覚醒」はシネマサンシャイン下関の映画館で3Dドルビーアトモスのチケットを購入し鑑賞したわけだが、なぜか期待値が膨らみすぎていたせいか、「う~ん。何か物足りないなあ」というのが実感ではあった。

一回観ただけでは批評してはいけない、というのが近頃の私の反省となっていて、『ザ・マミー / 呪われた砂漠の王女』(2017)も映画館で観たものの何回も居眠りしてしまい、これはきっとひどい作品だなと映画館を出た後の感想だったが、さらに後日、レンタルBDで再確認してみたところ、音質・映像・迫力ともに見直し、世の批評家の酷評にも反して、3D版のBD製品を購入した経緯があるのだ。で、結局、「フォースの覚醒」も後日、レンタルBDでも鑑賞。そして、あれから1年すぎて今度もBDを購入。「フォースの覚醒」で新登場してきたドロイドのBB-8がレイのお供役になったのは大歓迎、というのが率直な感想。映画シーンとは物語を越えるものなのか。登場人物の俳優やキャラクターの個性次第で、いかにそれぞれが重要な役割を背負っているかを実感する。この大作『スター・ウォーズ』シリーズでは特にそれが顕著ではなかろうか。キャラクター=フィギュアにつながるのもよく理解できる。善であれ悪であれ、正義であれ不義であれ、SFの世界では立派なキャラクターとして存在価値が出て来るから非常に面白い。いろんな怪物や生き物、そしてさまざまな宇宙船が動けば動くほど、時に可愛くもみえるのがいい。憎めない存在価値として「スター・ウォーズ」ワールドをファンタスティックに構築しているから、40年経った今でも世界的な人気は根強いのだろう。というより、映像技術や音質効果などの時代の進化と共に成長し続けるダイナミズムの象徴作品とみるべきなのかもしれないが、ジョージ・ルーカス自身が抱く夢物語の実現・実写化こそが最大の源流カオスなのであろう。

『スター・ウォーズ / 最後のジェダイ』(2017)が遺作となってしまったレイア・オーガナことキャリー・フィッシャーの突然の訃報は、私の心を痛ませた。まだ享年60歳だった。飛行機内での心臓発作らしく、一旦は一命を取りとめたとも伝えられたが、数日後に他界してしまったのは至極残念だった。私と同じ心臓病をかかえていたとは露知らず、これからますます円熟味あふれるベテラン俳優の道を辿るものと思っていたが、本当に残念だ。若い時のルーク・スカイウォーカーのフィギュアが今私の手元にあり、その頃の若かったレイア姫のフィギュアを探していた最中でもあったから、特別な思いも重なってしまったのである。私が現在お気に入りで所有している『スター・ウォーズ』の小さなフィギュアは全部で17体あり、小さいわりには案外と高額な商品で、実に緻密な細工作りで非常に感心している。

まあ、高額といっても一体の販売価格は千円もしないのだが、現在、ジオラマ製作に使用しているのだ。チューバッカもいれば、ハン・ソロもいる。レイもいればBB-8もいる。カイロ・レンもいれば、きらびやかな銀色装甲衣裳の女戦士キャプテン・ファズマもいる。ファズマのフィギュアには、黒地に渋い赤縁ラインが入ったマントと、長い銀色棒状武器のスタッフを装着させるのがとても苦労した。可動式フィギュアとはいえ、首や手首がポロリと毀れそうだった。そしてヨーダやR2に3PO、さらにはダース・モールやダース・ベイダーもいる。「ローグ・ワン」で新登場して来たドロイドのK-2SOもいる。ミレニアム・ファルコンやファースト・オーダーAT-ATもいれば、Xウイング・ファイターのポー・ダメロン機もいる。フィギュア・コレクションの趣味はないのだが、一眼レフでのジオラマ製作撮影に使い、WebでのGIFアニメーション画像を作るのが目的。私なりの楽しみ方で『スター・ウォーズ』を満喫したいのだ。各キャラクターにはどれもそれほど魅力が詰まっているということだ。まだまだ初期段階だが、仕上がったGIFアニメは随時フルカワエレクトロン2で公開の予定。

肝心の映画『スター・ウォーズ / 最後のジェダイ』はまだ映画館で1回しか観ていないので、BDが販売されればいずれ購入予定のつもり。総括という意味では、これでエピソード1からエピソード8まですべて映画鑑賞をしており、スピンオフ作品「ローグ・ワン」を含めると全9作品を鑑賞していることになる。物語が前後してたり、辻褄合わせのように出て来る、まるでジグソーパズルにピースを一つ一つ組み立てるかのような映画には、本当はついてゆけないのだが、一話のなかでダイナミズム・シーンがあれば、それはそれでついてゆけるのが映画の世界というものかもしれない。言葉の文字で表現するよりも、特徴ある1カット1シーンをつないでゆく動画のほうが遥かにわかりやすいのは確かだ。だが、映像ばかりでは伝わらない事もあり、そこは監督の技量でもあるだろう。最後のジェダイは孤島に棲む年老いたルーク・スカイウォーカーを指すのかもしれないが、フォースを操るようになったレイのことかもしれない。ルークからレイに受け継がれ、さらに新たな『スター・ウォーズ』エピソード9が始まってゆくのだろうか。「ハン・ソロ / スター・ウォーズ・ストーリー」(2018年5月米公開予定)はあくまで若い頃のハン・ソロが描かれるスピンオフ作品のようで、2019年12月に本編エピソード9は全米公開のもようのようだ。長きにわたる『スター・ウォーズ』シリーズの歴史は今後どこまで続いてゆくのだろうか。

(2018/01/29)

文・ 古川卓也





制作・著作 フルカワエレクトロン

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